続いて準決勝です
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窓からの日差しは既にほとんどなく、長かった一日もそろそろ佳境に入った。
新弾が発売されて数日後のWIXOSS PARTY SPECIAL。ドーナやママといった新規ルリグを使うプレイヤーはそこそこに多かったが、それでも依然として環境のトップにはセレクタールリグが君臨していた。
今回の試合は、その中でも特に使用者の多い2つ。ピルルクと遊月の試合をお届けする。
本戦突破者16名のうちピルルクは4人、そして遊月は3人。ほぼ半分のプレイヤーが、この2つのルリグを使っていたことになる。
少し緊張した様子でファーストムーブを化粧室への直行に費やしたのは、SPECIAL初優勝を狙う神崎選手だ。
秋葉原のSPECIAL、東白楽のSPECIALとピルルクで上位に入っている彼の使うデッキは今回もピルルク。
待っている間と、そして試合が開始するまでに多少コントのような会話を繰り広げたもう片方のプレイヤーがはちくじ選手。
実は、筆者がこの大会の予選で負けた相手が彼である。
「もしかして今負けた恨みで滅茶苦茶悪口が書かれているんじゃ?」
もちろんそんなことはない。
流石に準決勝まで来ると、お互いに相手のルリグぐらいは分かっているようだ。
特に迷うこともなくマリガンが終了し、神崎選手の先手で試合が始まった。
1ターン目は神崎選手に幸運が流れ込む形になった。
最初はMPPエナチャージ→サーバント2面展開でライフキープができるか怪しげだった彼だが、はちくじ選手のアタックでダイホウイカ→オタガメとバーストがめくれ、一気に山札が回転する。
シグニの展開がちゃんと進むかという問題は一気に解決され、はちくじ選手はいきなり膨大なリソース差に直面することになった。
こうなると早急にダメージを通したいはちくじ選手だが、それも叶わない。
2ターン目。3面目をしっかり埋めてきた神崎選手に対しヤモリを2面立てるも、肝心の龍炎の昇拳がない。せっかくのヤモリ昇拳の絶好のチャンスを生かせず、ルリグアタックもガードされてしまい、結果場のサーバントを踏むだけでターンを終了してしまった。
サーバント踏みというプレイから相手の手札を想定し、マルチエナ2枚を使用してLv3のピルルクΔへとグロウした神崎選手は、1ターン目に整えた手札を使い、相手よりも早い攻勢を仕掛けた。
まずはGRBの起動能力を成功させRFRを手札に加えると、踏まれた面にRFRを入れ更に山札を掘る。そして、潤沢な手札からALCAを出し、相手の場にあるヤモリとドラコレクスを焼いてアタックフェイズへと入った。
この早いタイミングで防御アーツを吐くわけにもいかず、攻撃を通すはちくじ選手。
めくれたライフは龍炎の昇拳が2枚。「ここかぁ」と、先ほど手札に来てくれなかった2枚に対し少し残念そうな目を向ける。
ライフから龍獣がめくれてくれないはちくじ選手は、Lv3へのグロウに仕方なく今めくれた龍炎の昇拳を使用する。花咲乱。Lv4へのグロウは確定したが、まだ紅蓮か火鳥かは判明していない。
ダメージを早く通したい彼の思惑とは裏腹に、龍獣はめくれず、引きも良くない。アパトを出せればまだ話は違ったが、ここで出せたのはなんとメツミが1枚のみ。1面空いた状態でアタックに入り、神崎選手にルリグアタックも防がれてしまったため、青vs赤の試合なのに現時点でライフは5対4の神崎選手有利だ。
手札の調整、盤面の制圧を全て上手く行うことに成功した神崎選手。これが仕上げと言わんばかりに、彼は4ターン目へ移行した途端大量のハンデスを始める。
まずはΛへのグロウで1ハンデス。GRBを捻ってCRYSTAL SEALで1ハンデス。同じことをもう1回やって1ハンデス。そしてΛのエクシードでΔを切って1ハンデス。
Lv4になれば暴れられるはずだったはちくじ選手の手札4枚を、一瞬で全て刈り取ってしまう。仕上げとばかりに場には下敷き3枚のMPP、そしてダイホウイカ。
リソースの全てを奪い取られ、しかもバニッシュ耐性まで付けられたはちくじ選手。自分の首を回すためにダメージを通し、ライフへと解答を求める。めくれたバースト1ドローがサーバントで、とりあえずこのターンのダメージは2枚のみ。
それでもライフは最早5対2で、はちくじ選手の手札は結局ない。
これ以上ライフを減らすわけにもいかず、はちくじ選手は花咲乱の効果を使いながら火鳥風月へとグロウする。上から引いたボルシャックとグリアナを出すも、MPPがいるせいでダメージは通せない。
困ったことに、神崎選手のライフクロスはまだ5枚もある。火鳥で1枚を削って、それでも残りは4枚。明らかに詰めきるには条件が足りない。ボルシャックでMPPの下敷きだけ剥がし、そのままターンを終える。
そして、満を持してAPEXが降臨する。
リフレッシュが挟まれ、これでライフは3対2だ。
このターンを、神崎選手はほとんど動かずアタックに入った。下手に動いて、返しターンでのリフレッシュダメージが通ることを避けたのだ。
そんな場でも、ライフが2枚、1面開き、そしてダイホウイカを立てられているはちくじ選手からすればアーツ要求盤面になってしまう。
これまで温存してきた多元描写で空いた1面を埋め、後は通すことで、エナを大量確保する。
残ったライフは0。手札も刈りつくされるであろう状況で、しかも多元描写を吐いてしまった。となると、はちくじ選手に残されたリミットは、この5ターン目のみとなってしまう。
が、彼の前には、3枚もあるライフと、山札一周した上で残っている大量の手札と、青2枚を含んだエナ、そして下敷きを1枚残したMPP、下敷きを4枚残したAPEXが立ちはだかっている。
少なくとも相手のトラッシュにフリーズはない。ないのは確かだが、ここで倒しきれるかは非常に怪しい。
けれども、決めるしかない。
長考の末、はちくじ選手は動き出した。
まずは火鳥の起動能力で1点。マイアズマでMPPを溶かしてスパザウスを回収、紆余曲折でダイホウイカも飛ばし、ムシュフシュも回収。
そして一蓮托生でデッキから割裂を持ってきて、回収した後にムシュフシュを出す。
最早、カットインがないことに賭けたワンチャンスしか、彼のデッキには残っていなかったのだろう。
ムシュフシュが殴れることを期待して、彼は割裂を撃ち込む。
神崎選手は、ルリグデッキを持ち上げた。
カットイン、来るな。そう祈るはちくじ選手の声が聞こえるようだった。
が、そこで見えたブルー・パニッシュがムシュフシュを屈服させ、試合は決着した。
試合終了後、神崎選手は手札のバオバブーン2枚とオタガメを公開した。
「あ、これはどっちにせよ詰めきるのは無理だったなぁ。最初にもうちょっとダメージを取らなきゃ勝てなかった……」
一度めくれたバーストの差をフルに活用し、フルハンデス・MPPとマウントを取り続けた神崎選手が、見事はちくじ選手を倒し決勝へと駒を進めた。
神崎選手 win!
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