第12回WPSカバレージ 準々決勝 あきつかさんvsのくさん

 

ウィクロスプレイヤーのテラタカさんのご厚意により3試合分のカバレージをいただきましたので掲載させていただきます

 

テラタカさんありがとうございます

 

それではお楽しみください!

 

 

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事前に打ち合わせがあったわけではなく、本当に、急に決まったことなのだが。
今回の川崎WPSで、準々決勝→準決勝→決勝と、カバレージを書くことになった。

というのも、知り合いの「前の大会でカバレージ書いてもらえなかったから今回は書かせる!」という悪ノリに「暇だから書けなくはないけど」と僕が答え、ヘッドジャッジが(明らかに勢いに押されて)承諾したという流れがあるわけだが。
カバレージを書き始める準々決勝の前の段階で敗北してしまったため、執筆を促した当人はどのカバレージにも載っていない。

そんなわけで急に決まったカバレージ執筆だが、ひとまず準々決勝のA・オカダ選手、及びのく選手両者は、快く試合の執筆を承諾してくれた。
むしろ、試合前から「変なプレイミスが書かれると怖いから追いつかないぐらい超速で試合しましょう!」なんて会話の種にまでなった。心遣いがありがたい限りだ。

「選手名……ええっと、Aオカダさん」
「予選まではAオカダだったんですけど今はあきつかなんですよね」

というわけで、このカバレージでは以降『あきつか選手』表記で記載する。

魂を込めたじゃんけんの結果、あきつか選手が先手・のく選手が後手となった。

あきつか選手が3枚・のく選手が4枚と互いに多めのマリガンから始まった試合は、しかし最初の引きが悪かったとは思わせないほどスムーズに始まる。

先行あきつか選手のクルミドエナチャージからの2面展開に対し、のく選手はいきなりダガで1面空けてダメージ要求を開始した。
手札が悪いならいきなり3点が通りそうだが、対するあきつか選手もマリガン後の手札は相当強かったらしい。しっかりサーバントでガードし、喰らうダメージは2で抑える。
めくれたライフもバーストが2枚と、お互いに初ターンから理想の動きを見せ付けてきた。


続く2ターン目。
あきつか選手アイヤイ・コールの能力とチャッキーの能力でウンテイを二度出し着実にアドバンテージを取る。
のく選手の場に出ていたダガもチャッキーでしっかり踏み、これでダメージレースも一安心。……と思ったが、のく選手はこのターンも更にダメージ要求を続ける。
ゲット・インデックスでとりあえずアイヤイに対抗するエナを伸ばすと、レガースであきつか選手の面を1つバウンスして更に1点を重ねた。

と、ここまで来るとのく選手が圧倒的に攻勢に見えるが、実を言うとそうではない。
タマは2ターン目までのリソースの補給が非常に難しく、もちろん序盤からダメージを通しすぎるとルリグアタックへのガードが多少疎かになりがちなデッキだ。それとは逆に、あきつか選手の駆るアイヤイは爆発的に伸びていくアドバンテージを有効活用するデッキ。
あきつか選手はしっかりと2回分ガードを重ねていた一方、のく選手はサーバントでのガードが行えない。ライフは2ターン目が終わった時点で4対5。目に見えてリソース総量はあきつか選手の方が多く、彼はサーバントを2ターン連続で切ってもまだ余裕があるようだった。


Lv3のアイヤイ・レイズにグロウしたあきつか選手は、この伸びたリソースを更に伸ばす。ワラニン+ウンテイでルリグ効果とシグニ効果を発動すれば、もうエナは2ケタに届きそうだ。
最近では3止めのアイヤイなんかも環境で見られるようになったが、現時点であきつか選手のエナにはタコアゲがある。少なくとも彼は、3ターン目までをリソース獲得に費やす4レベルアイヤイで間違いないらしい。

後手側ののく選手が撃ったゲット・インデックスにアスレ【NORMAL】をカットインさせたことにより、書いたそばからエナは10枚を超えた。結局、ヴァルキリーによるリソース回復とボーニャによるデッキトップ調整に努めたところでのく選手の後攻3ターン目は終了。
あきつか選手が更にサーバントを切ったため、この時点でライフは4対4。


さて、タマをダガとレガース・人によってはドーラドスラフで序中後半隙なくダメージを稼ぎ続けるデッキとするならば、アイヤイは最終グロウ状態になった途端に大爆発を起こすデッキだ。
あきつか選手は4にグロウした瞬間JOKER効果でジャグジムをエナに置くと、迷いもなくフラフープ・ベイゴマ・アスレ【HARD】の盤面を作り上げる。

爆発的に伸びたあきつか選手のリソース総量を見れば、JOKER効果も含めこれ以降毎ターン致死盤面を作り続けられることは明白だ。
1ターン目のエナチャージとJOKER効果のエナチャージでジャグジムクルミドもしっかり確保されている。

このファーストアプローチに対し、のく選手は落ち着いてモダン・バウンダリーを発射した。
モダン・バウンダリーと言えば『肝心な時に外す』で有名なカードだが、前ターンにボーニャでしっかりトップ確認を済ませている以上そんな悲しい状況にも陥らない。しっかり致死に繋がるベイゴマがバウンスされ、このターンは2点が通ってターンが終了した。

フラフープの効果によりアークゲインがすぐ対処されてしまうのく選手は、4ターン目に入って少し思考に時間を費やす。
ベイゴマはライフが2残っていようと簡単に試合を決着させてくるし、それを避けても横のアスレが着実にダメージを刻んでくる。4にグロウしたばかりだというのに、彼に残された時間はそう多くない。

ともかく、のく選手側も相手の残ったライフ4を削り取るのが急務だと判断したらしい。
永遠タマへとグロウし効果で出したバットカで1枚山札を掘ると、まずはクロトでアドバンテージ確保へと走り、それが失敗するや否やエクシード効果とレガースを使い相手の面を3箇所こじ開けアタックへと踏み切った。
場にパワー10000以上のシグニはいない。普通であればとても頼りない盤面ではあるのだが、緑カードの『○○以上のパワーをバニッシュ』が多い特性を考えるとこれが最善なのだろう。

この3点要求に対し、あきつか選手は通すべきか通さざるべきかを吟味する。先ほどクロトの宣言でヘルボロスが見え、タマが5にグロウすることが判明したばかり。
ここまでのグロウと見えているメインデッキから判断すると、炎タマ及び黒点タマの可能性は極限まで低い。となれば、最もダメージを要求される創世マユのパターンと、場のリソースを着実に削られる真名マユのパターンの両方を想定する必要があった。
ダメージを喰らった場合、死ぬまでに相手を独楽とアスレチックの餌食にできるのか? 防御アーツを吐いた場合、どういう動きが裏目になるのか?

のく選手のトラッシュとエナ、そしてクロトで見えた5枚の札。
情報を纏めたあきつか選手は、ダメージを全て通すことに決めた。3ターン目の終了時点でお互いに4もあったライフは、4にグロウした瞬間に0対2まで落ち込むこととなった。


5ターン目。因果応報が撃てそうなほどエナが残っているあきつか選手だが、やることは変わらない。
先ほどバウンスされたベイゴマを出し、JOKER起動効果でエナに残っていた別のフラフープを出し、そしてアスレ【HARD】を降臨させて再びアタックに入る。
のく選手の場は先ほど述べた通り全員パワーが低く、これを通せばベイゴマさえ使わずにトドメが刺せてしまう。そして、ベイゴマ以外を止めたらベイゴマ効果の追加打点でトドメだし、ベイゴマだけを止めては再びフラフープ効果が起動する。

2ターン連続の理想盤面に、のく選手の苦笑いが漏れる。
とはいえ、彼もアーツで攻撃を止める以外に選択肢はない。問題は、どこを止めるか、そしてどう止めるかだ。

まずフォーカラー・マイアズマを撃ったのく選手。ベイゴマとフラフープ、どちらをバニッシュするか迷った彼は、最終的にフラフープを飛ばすことを決めた。次のターンにアークゲインを出すという明確な意思が感じ取れる。
続けて、3枚目のアーツであるバロック・ディフェンスをベイゴマに撃ち、この場は凌ぐ。
逆に言えば、残りのライフにシグニを止められるバーストは入っていないという証明にもなる。あきつか選手の攻撃でのく選手のライフが削られ、残りは0対1だ。


後攻、のく選手がグロウしたのは創世マユだ。
序盤からインデックスで準備してきたエナも2回の攻撃を防いでたったの3枚。せめて後1枚あればバロックモダンで2面が止まるが、『1枚足りない病』が襲い掛かった彼にはもう後がない。
つまり、ここの攻防でおそらく決着が付くのは、誰の目から見ても明らかだった。

まず彼は、このゲーム3回目となるレガースの効果で相手のアスレをバウンスする。
そしてすぐにそのレガースをトラッシュへ送ると、1ターン前から手札で燻っていたアテナとアークゲインを出す。場に残っていたクロトと合わせて天使が3枚。アテナでベイゴマをバウンスして3面を開け、エクシード+神妙タマでアテナを起こすことで全面要求。エクストラターンを得て、決死の突撃を敢行する。

あきつか選手は、どこまでも落ち着いていた。
のく選手の山札が9枚。もちろんエナと手札は0枚。アーツは全部回収されたが、全部撃つエナを次のターンで確保することは流石に不可能に近い。
「流石に勝った」と呟くと、まだ1枚もカードが置かれていなかったルリグトラッシュに、一気に6枚のカードが置かれた。サクシード・ディストラクトと、そのエクシードコストと、暴風警報だ。
せっかく出てきたアークゲインがすぐに飛ばされ、暴風でシグニアタックが全て止まり、そしてルリグアタックがガードで止まる。

とはいえ、アークゲインが処理されることはほぼ想定内だったのだろう。
クロトで5枚がデッキボトムに行き、のく選手だけが知っていた山札は4枚。上から引いてきた2枚はゲット・インデックスとアークゲイン。この2枚のいずれかを引いていた確率は非常に高く、要するに彼は続くターンに更なるアークゲインが供給できることもほぼ見越していたはずだ。
即ち、再び耐性持ち3枚による全面要求が入る。

流石にこれには驚いたあきつか選手だったが、勝利宣言をした彼に隙はなかった。
残った2枚のアーツが彼の手で公開される。フォーカラー・マイアズマと、水天一碧。
ワラニンとチャッキーが存在するアイヤイにとって、マイアズマは3面埋めアーツだ。無情にも天使達の前に呪いの人形達が並び、そして水天によってサーバントがのく選手の目の前で回収されていく。
おまけに、マイアズマによるデッキリフレッシュまで込みで、だ。

全ての攻撃が通らない。そして、あきつか選手の手札には確定でベイゴマがいて、今しがた場に出た3枚がそのままアスレの出現時コストに変貌する。
エナが2枚、手札が0枚、ライフもトラッシュも0枚。ターンを返したのく選手に、防御する術はもちろん残されていなかった。


あきつか選手 win!

 

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