第12回WPSカバレージ 決勝  ハトムギさんvs神崎さん

決勝戦です!

 

 

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予選突破者唯一のユキの使い手が、決勝まで勝ち上がってきた。

「ユキでWPS優勝したの、僕が最初なんですよ」

そう豪語するのが、準決勝のうちカバレージが書かれなかった方の卓であきつか選手相手に勝利を収めたハトムギ選手だ。
上の発言だとただの自慢のように聞こえるが、そうではないことは一応明記しておく。「○○なの、僕が最初なんですよ」といういわゆる『起源主張ネタ』が、彼の持ちネタらしい。
もしかしたらいずれ、ウィクロスを世界最初にプレイしたのも彼になっているかもしれない。

もう片方のプレイヤーは、準決勝のカバレージでも登場した神崎選手。
ユキ対アペクス。どちらもコントロール系のデッキであり、これまでの試合が全部早めのデッキのテンポに合わせての試合だったことを考えると、ターン数にかなりの差が出そうな試合だ。

とはいえ、決勝戦のみは制限時間がないことになっている。
存分に思考時間をかけた、長丁場の試合が想定される。

今回のSPECIALは、午後の参加者が思ったほど伸びなかったため、賞品としてのサーバントが1枚しか配られない。
ここで勝つか負けるかで、手に入る賞品の量は大幅に変わる。優勝と準優勝という2つの肩書きの間にも、格差はもちろんある。
初優勝を狙う神崎選手、2度目の優勝を狙うハトムギ選手。最終戦の幕が切って落とされた。


ここまで勝ち上がってきた2人のマリガン前の初手は、どちらも芳しくないようだ。
先手を取ったハトムギ選手は4枚の手札を、そして後手となった神崎選手は5枚全ての手札をマリガンする形となった。


まず初ターン。
ハトムギ選手はイフリードをチャージし、凱旋を出す。そしてその凱旋でイフリードを切ると、そのままデッキからベルフェーゴを呼び寄せた。
いきなり凱旋からイフリードを一気に溜め込む動きはかなり強力だ。ユキの先手凱旋は1枚出せば2枚目を出す必要もないため、最善に近いスタートとも言える。

返す神崎選手も、5枚の変更でしっかりLv1を2枚引き込んでいた。
凱旋の前に出したGRBの効果は失敗するも、続けて出したサーバントO2でアタックに入り、ルリグと合わせてライフを2枚削る。


2ターン目になると、ハトムギ選手のベルフェーゴが火を吹く。
動きは当然ベルフェーゴイフリード。サーバントO2を処理した後、凱旋を捻って手札から更にイフリードを切りベルフェーゴをサーチする。
既に公開領域にイフリードが4枚。2枚目のベルフェーゴは何も落とさずに終わるが、そもそも凱旋は捻っているので問題はない。これで2面要求を行い、ライフを5対5に持っていく。


神崎選手の3面立てからのルリグパンチはサーバントでガードされ、そのまま3ターン目。ハトムギ選手のペイル/メイデンが場を一掃する。
元々、ピルルクにはLv2のシグニが入りにくい。神崎選手の場は全てバニッシュされ、ここで3面要求が入る。途中でMPPがめくれてどうにか1面を飛ばすが、ルリグパンチまで通ってライフは5対2まで落ち込んだ。

返しの神崎選手。ここでLv3がφであれば面埋めももっと楽だったのだろうが、Δだとそうもいかない。結局、面を埋めきれずにターンを渡すことになり、ライフ差4対2でハトムギ選手にターンを渡すことになった。

ピルルクといえば環境で最も多く、そして最も強いと言われることも多いルリグだ。裏を返せば、最も多くのプレイヤーに対策を練られているルリグと言っても過言ではない。
そして、ハトムギ選手は最初に宣言していた通り、ユキで別の大型大会を優勝したこともあるユキの名手。序盤から一気に圧力を掛け、ダメージレースで圧勝することにより試合を決定付けるという鉄板の動きを綺麗に遂行したここまでの流れは、恐らく全て彼の計算通りなのだろう。


そんなハトムギ選手は、4に乗るやいなやルーブルを2面展開し、すぐさま純白ユキのエクシード2で相手の場を飛ばしにかかる。続くルーブルとエカリーテをサーチすると、金字塔を捻って金字塔を手札に加え、実質手札消費を0枚にしてアタックに入る。
エクシード1で捻った金字塔の前に相手のGRBを持ってきて、金字塔で見たいらない凱旋をユキ効果でエナチャージ。そのまま綺麗に2点要求だ。

手札にサーバントがないらしい神崎選手。どのアーツを使用するか悩んだ末、相手のヘルボロスを嫌ってか、それともルーブルが2面残るのを嫌がってかマイアズマをこのタイミングで吐く。効果選択はルーブル1面のバニッシュとサーバントの蘇生。
ハトムギ選手のルリグアタックでフリーズがめくれ、アーツを使う必要がなかったことを知ると少し残念そうにした。


2面要求→3面要求→2面要求で否応なしにアーツを吐かされ、ピルルクの足元には既に不穏な影があった。それでもΛにしっかりグロウした神崎選手は、早速稼がれたリソースを奪い返しにかかる。
グロウ→GRBを捻ってALCAを当てるとそのままCRYSTAL SEAL→エクシードでΔを吐き出して3ハンデス。相手が出したシグニ3体の稼いだ手札分を全て叩き落とすと、今しがた手札に加わったALCAを使いダイホウイカを回収、すぐにALCAをリムーブし、ルーブルのいない2面にダイホウイカを立てて3面要求でアタック。

せっかくサーバントを切り続けてキープしたライフを、ここで一気に奪われてはたまらない。
ハトムギ選手はまず純白ユキの残ったエクシードでダイホウイカを1枚ルーブルの前に置くと、満を持してイフリードの効果を発動する。ダイホウイカ1枚が効果無効・1枚がバニッシュとなり、3面要求は1エナも使わずに0面要求へと変わった。むしろ、ユキの効果で1エナ増えたぐらいだ。
加えて、通したルリグパンチでヴェルサがめくれて神崎選手の盤面は一気にあとダイホウイカ1枚だ。

ここで神崎選手は、ダイホウイカによるディスカードにオタガメを使用する。
空いた2面は1面へと変わり、しっかりダメージを防ぐ形になった。


5ターン目。先手を取っているハトムギ選手が、先に5へとグロウする権利を得る。
エクシードを全て吐いた彼に、グロウを戸惑う理由はない。もし彼のルリグがマユだったなら話は別だが、乗ったルリグは最幸の巫女。
ライフを3対1にし、アーツも1枚吐かせた。このまま流れと共に更にアーツを吐かせてしまいたいところではあるが、ここで彼はしばらく考える。
金字塔を捻り、その金字塔にトーチュン・ウィップを当て、クレリムをサーチ。ルーブルと一緒にそのクレリムを出して1ドローをしてみるも、何やら手札に好条件は揃わなかったらしい。最後の1面にヴェルサを立てると、面は空けずにアタックに入る。
これを神崎選手はアーツを使用せずに通し、持っていたサーバントをしっかり切ることでライフを3対0の状態にして、神崎選手にターンが移った。

返しのターン。神崎選手は、もちろん即断でAPEXにグロウする。
ソリティア系のデッキは、リフレッシュを何度も行う都合上「ライフ0調整」が行われることが多い。即ち、リフレッシュより前にアーツ使用を抑えながらライフを全部リソースに変換してしまうことで、存分にデッキを回転させようという考え方だ。
無論それを実行するには、ライフ0からでも勝利まで耐え切れる耐久力あるいは妨害能力と、一定以上のダメージを稼ぎ続けられる攻撃力が必要になる。
そしてピルルクというルリグは、鉄壁の防御力とルリグによる攻撃力を備えた、正に条件に合致するルリグだ。――つまり、その使い手である神崎選手は、ライフ0からの試合に非常に慣れていると言って間違いない。

とは言っても、相手のユキも長期戦を得意とするルリグであることに違いはない。緊張とプレッシャーも相まってか、神崎選手は血の気が引いているようにも見えた。

それでも、神崎選手は自身のデッキを信じて回し始める。
まずはスリーアウトからのAPEX効果でヴェルサをバニッシュすると、身動きが取れるようになったALCAでダイホウイカを回収。1枚になった山札をバオバブーンでリフレッシュし、場をどけた後でダイホウイカ・ヘルボロスを立てる。
アタックフェイズに入りヘルボロス効果でカイヅカを蘇生すると、再び全面要求の盤面が訪れた。

ハンデスの影がちらつき、ハトムギ選手は無理にライフを0にすることができない。
そんな中でも、トラッシュ利用系のデッキで出されれば辛いことは間違いないはずのヘルボロスにハトムギ選手は冷静に対応する。
このターンの攻撃を最幸のエクシードによるヘルボロスの効果無効+マイアズマのマイナス及びクレリム蘇生選択で0ダメージに抑える。


そして、わざと場に残したヘルボロスは、次のターンの最幸エクシードでデッキボトムへすぐさま送られる。
場に残ったルーブルの効果でカンボサをサーチすると、小粒なシグニを2面並べてそのまま2面要求でアタックに入った。

ライフが1枚も残っていない神崎選手はもちろんアーツかエクシードを吐く必要がある。
このターンは2面要求ということで、ドント・エスケープを使用してぴったり2面の防御だ。


即座にヘルボロスを対処されても、神崎選手はうろたえなかった。
元々手札に持っていた2枚目のバオバブーンを場に出し、ついさっきデッキボトムに送られたばかりのヘルボロスはすぐさま手札に帰ってくる。心なしか、ハトムギ選手の表情が曇った。
スリーアウト+APEX効果でルーブルがバニッシュされ、そしてまたしてもヘルボ+ダイホウイカ+カイヅカの3面要求が叩きつけられた。

スリーアウト+ダイホウイカによりリフレッシュされない程度に圧縮された山札では、再びデッキボトム送りにエクシードを支払うのは大きく不安が残る。
ハトムギ選手はとりあえずエクシードでヘルボロス・ダイホウイカの効果を無効化し、クトゥル・コールでヴェルサを蘇生して無効化された2枚のシグニをバウンスした。


なんとなしに、両者の残りカードを見てみる。前半はハトムギ選手が押せ押せで動いていたはずの試合だったというのに、いつの間にやら使用アーツの枚数は同じになり、エクシードも神崎選手の方が多く残っている。
ライフこそハトムギ選手は3枚残しているが、神崎選手の丁寧な全ターン3面要求は一息つく暇を欠片も許していない。
序盤に付いた莫大な差は、ゆっくりと、静かに埋まっていた。ふと気付くと、気を抜いたら足元を掬ってくる死の影は、既にピルルクのみならずユキさえも狙っていた。


そして迎えた7ターン目で、とうとうユキは足を取られる。
残りの山札4枚からドローした2枚を見て、しきりに「ミスった」「失敗した」と話すハトムギ選手。
相手の盤面は2面空いているが、相手のトラッシュにフリーズがある以上3面開けるメリットもない。何より、ユキのエクシードは後1枚しか残っていない。ここを攻撃に使ってしまえば、もう相手の手札にあるヘルボロスを止めきる手段はほとんどないだろう。
結果、彼にできたのは、引いたサーバントをそのまま場に出して相手にフリーズを撃たせるだけだ。残ったのは、貧弱なサーバント2面のみ。


一方の神崎選手の手札の質は最高に近い。
なにせ、先ほどのターンでバウンスされたヘルボロスとダイホウイカがそっくりそのまま残っているのだ。カイヅカをチャージして、後はさっきと同じ2枚を立てれば、またしてもトラッシュを封じた3面要求盤面となる。
見れば、青白くなっていた顔色はすっかり試合前の調子に戻っていた。奪われ続けていた試合の支配権をようやく取り戻したという確信が見える顔つきだ。

最後のエクシードでヘルボロスを無効化し、ハトムギ選手はスピリット・サルベージからフォーカラー・マイアズマを撃つ。
神崎選手のデッキが落としきれないことだけ確認した後、ダイホウイカへのマイナスと金字塔の蘇生を行い、そしてカイヅカでダメージを更に1点減らす。
手札がないためルリグパンチを通すと、そこにあったバーストはヘルボロス。散々彼を苦しめていたカードは、ここに来て初めてライフバーストの2枚回収で彼に幾ばくかの猶予を与えた。


ただ、ハトムギ選手にできることはもう多くない。
ユキのエクシード材料は既にすっからかんで、アーツもあとたったの1枚しか残っていない。2ドローしたハトムギ選手はデッキ切れを起こし、リフレッシュで更にライフが1枚削れる。

ヘルボロスで回収した2枚・ドローの2枚・蘇生した金字塔で加えた1枚。この5枚を頼りに、『あるかもしれない』盤面への解答を探し出すのが、彼にできる精一杯だ。
まず、捻った金字塔からの回収は金字塔。寝ている金字塔にトーチュン・ウィップを当て、クレリムをサーチ。
続けて2枚目の金字塔でルーブルを引くと、更にトーチュンを当てた上でルーブルクレリムからのドローを行う。

しかし、ついぞ決定的なカードを引き当てることはできなかった。ヘルボロスの前にヴェルサを立て、後はアタックフェイズへ移行するのみ。
対応する神崎選手は少し考えた後、エクシードでアイス・フィンガーを撃つ。


そして、返しのターン。
CRYSTAL SEALで最後の1面までバニッシュして最後の3面要求を行った神崎選手に、ハトムギ選手が言った言葉は『投了』であった。
ピルルクが、纏わり付く死の影を完全に向こう側へと追いやった。

 

試合終了直後。試合後半辺りから観戦していたプレイヤーから、「どこら辺で試合の流れが決定的になったのか」という質問があった。
それに対し、ハトムギ選手は「5か6ターン目の時点」と答える。

「山札が弱くって、全部把握はしてたんですけどその山札を掘るカードもなくて。結局リフレッシュが大幅に遅れて、身動きが取れなくなったのが一番の敗因だと思います。序盤の動きは強かったし勝ちたかったなあ」

対戦していた神崎選手も、「本当に序盤はキツかった」と話す。流れを見ていても、マウントを取っている時間はユキの方が圧倒的に長かった。
しかし、後半全ターンに渡りヘルボロスをキープし続け、エクシードを何度も無理矢理吐かせることで、神崎選手はしっかりと逆転し、そして勝ちきってみせた。

互いに隙のない、決勝にふさわしい試合。優勝の栄光を授かったのは、冷静に自体へと対応を続けた神崎選手と、彼の操るピルルクとなった。


神崎選手 Congratulations!

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